エクセルは何故多くの会社、人によって使われるのでしょうか?
Excel Guru
それは作業を自動化したり、効率よく行って生産性を上げるため!
多くの人がわかっていることだと思います。しかし、自分の作業を効率良く生産性を上げたいとは常々思っていても、具体的に何をどうすれば良いかがわからない。そういう方が少なくないのではないかと思います。
私は現在20年強のサラリーマン経験を持つようになり、その間様々なエクセルファイルを目にしてきました。その中で気づいたことですが、エクセル初心者とそうでない人で次の違いが共通して見られます。
データ入力用シートとレポート出力用シートを分けているかいないか
初心者の人のエクセルファイルを見ると1枚のシートに数字を入力するなり他のファイルからコピペで貼り付けるなどした後、合計欄を設けて罫線などを引いて表題のフォントサイズなどを変更したりセルの色を変更したりして完成させています。つまり、入力用シート=レポート用のシート。これでも問題ない場合もありますが、通常その場合、データ量が少なく50行程度あるいはA4サイズ1ページの印刷範囲内に収まるようなシンプルなものです。
しかし、エクセルを長い目線で極めていきたいと考えた時に、このやり方では不都合な部分が出てくる場合があり、また効率の点から考えても良いとは思えません。その理由をいくつか下に記しました。
1.膨大なデータ量を扱う
Windows 95 が世に登場してエクセルやパソコンが世の中に浸透し始めた頃はパソコンのスペックは今とは比べ物にならないくらい貧弱でしたし、インターネット環境も全然違っていたので、パソコンで出来ることにも限りがありました。また、家にパソコンがない家庭もまだまだあり、企業もオフィスに1台、シェアして使うという所も少なくなく、パソコンを会社で初めて触ったというパソコン初心者が多い時代でした。多くの人が1枚のシートに数字や文字を入力して罫線を引いたり、文字のフォントやセルの色を変更したりして印刷あるいはメールで上司に送る。当時はそれでも十分だったと思います。
しかし、今の状況は全然違います。パソコンのスペックもソフトやIT技術も格段に進化し、ユーザーもパソコンスキルが向上し、より高度な作業を短時間でこなし、マルチタスクが求められる時代です。企業はERPなど基幹システムを導入し、また、それとは別にサードパーティーの分析、管理ソフトを複数導入してそれらを連携させたり、CSV形式で百行、千行あるいはそれ以上のデータをエクセルの1シート上に抽出して、別のシートで加工したり、分析した入りする。シートも1つのファイルに10枚あるいはそれ以上あって各シートが関数などでつながっている。そんなことも珍しくありません。なので、1枚のシートに入力して体裁を整えて完了というのはよほどシンプルなレポートなら別ですが、そうでなければ今の時代のエクセルの使い方ではないと考えましょう。膨大なデータ量を短時間で高速で分析したり、他のシートとつなげたりして分析をするのがエクセルを駆使する理由と言っても過言ではありません。
2.データは日々更新される
例えば売上日報を例で考えると、データは日々積み重なります。明日は今日のデータ量より増える、明後日は今日、明日より更に増え、データは日々更新されるわけです。仮に毎日100個の売上がある場合、売上を管理するシステムからデータをエクセル上に抽出した場合1日に100行増えます。10日で1,000行、20日で2,000行です。入力用のシートに合計欄を下に設けた場合どうでしょう。その都度合計欄をさらに下の方に持って行ったり、手間が増えます。しかし、別のシートに合計欄を設けて関数で自動的に合計額をアップデートするように設定すれば、入力用シートを修正する必要はなく、データを増やすだけで良いわけです。
3.様々な分析が求められる。
最近は売上なら売上を管理するソフトやシステムが導入され、単に売上金額だけでなく、顧客管理や売上分析ツール、レポートなど様々な機能を有しています。売上を1個システムに入力すると、販売した商品名(商品コード)、販売日時、販売支店・店舗、販売担当者(名前、担当者コード)、顧客情報(顧客コード、名前、年齢・生年月日、性別、住所、連絡先など)など多岐に渡り販売の都度それらを記録します。1日100個売り上げる企業なら10日で1,000行、30日で3,000行分のデータになりますし、商品別、店舗別、顧客の年齢別、性別など様々な分析が可能です。
それらを1枚のシート上でやろうとすると、ある時は商品別の売上レポートを関数など駆使して作成しても、翌日、上司から今度は支店別。店舗別の売上のレポートを求められた時に前日作った商品別のレポートを削除して、今度は支店別、店舗別のレポートを作成して、そこに新たな関数などを入れないといけません。これは時間のかかることですし、前日の成果物を無しにしてしまうのと同じ結果だと思います。
データの横にいくつかレポートをあらかじめ用意しておけばと考えられた方。これは横にスクロールをしないといけないですし、レポートを作る側は作成中に何度も関数など正しく機能しているかデータとレポート間を行き来しないといけませんし、レポートを見る側もレポート側で概要を把握して詳細をデータで見る必要があるためやはりデータ、レポート間を何度も行き来しなければいけません。そして、その都度左右にスクロールしないといけないというのは作る側にとっても、見る側にとってもストレスが溜まります。何故なら効率がすごく悪いからです。店舗別用の分析・集計シート、商品別の集計・分析シートを別に設定しておくことでこういったデメリットは解消されますし、入力用のシートは日々データを更新するだけで済む、いじる必要はありません。
まとめ
入力用シートとレポート用のシートを分けるのは以上のような理由からです。入力用の元データは(極力)いじらない。レポート用シートを必要に応じて複数用意しておいて関数や機能などで自動化する方が効率の点からも良いです。会社が設定したエクセルファイルなどではそのような感じになっているところがほとんどだと思います。なので、データ入力用シートはあくまでもそこにデータを落とし込むだけのシートで、それを加工したりするのはレポート用のシートの方で行う。分業化です。
そして、それを可能にするためにエクセルの機能や関数、VBAといった事を理解していく必要があるわけです。